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エアドロップで受け取った暗号資産はいつ課税されるのか

執筆
谷 昌幸
弁護士(第二東京弁護士会)
監修
高野 一弘
税理士・公認会計士(AsiaWise会計事務所 代表)

この記事で参照した国税庁の資料に、エアドロップを直接扱った説明はありませんが、NFT や FT についての説明に照らせば、プロジェクトの運営会社など法人から無償で受け取ったトークンは、暗号資産などの財産的価値のある資産と交換できるものであれば、受け取った時点の価額で所得税の課税の対象になると考えられます。個人から無償でもらった場合は、個人から経済的価値のある NFT を贈与で受け取った場合に贈与税が課されるとする NFT の FAQ 問9 に照らせば、贈与税の問題になると考えられます。これに対し、暗号資産の分裂(分岐)で新しい暗号資産を受け取った場合は、国税庁の FAQ により、その時点では課税の対象となる所得は生じません。

国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」、「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」、タックスアンサー No.1525-2 のいずれにも、エアドロップという言葉は出てきません。以下では、これらの資料が NFT や FT(代替性トークン)について示した説明と、所得税法の条文から、エアドロップの課税を考えます。

タックスアンサー No.1525-2 の整理

タックスアンサー No.1525-2「NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」は、NFT や FT が暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、それを用いた取引は所得税の課税対象になるとし、財産的価値を有する資産と交換できないものを用いた取引は課税対象にならないとしています。

エアドロップで配られるトークンが他の暗号資産と交換できる FT であれば、この整理がエアドロップにも当てはまると考えてよいでしょう。タックスアンサーは、どこで交換できるかを限定していません。そのため、日本の暗号資産交換業者で取り扱われていないトークンでも、海外の取引所や DeFi の分散型取引所(DEX)で他の暗号資産とスワップできる FT であれば、交換できるものに当たると考えられます。

NFT の FAQ の問7 も参考になります。問7 が扱うのは、商品を買ったときに、購入先の法人が発行するトークンを無料でもらった場合です。そのトークンは、次にその購入先で買い物をするときに使えます。ポイント還元に近いものです。

問7 は、このトークンをもらったことも所得税の課税対象になるとしています。収入金額は、もらったトークンの時価です。ただし、暗号資産などと交換できないなどの理由で、時価を出すのが難しいときは、時価を0円としてよいとしています。

買い物に付いてくる点で、エアドロップとは場面が違いますが、無料でもらったトークンの時価の扱いを考える手がかりになります。

いつの時点で所得になるのか

所得税法36条1項・2項は、金銭以外の物や権利、経済的な利益で収入する場合には、それを取得し、または享受する時の価額を収入金額とすると定めています。エアドロップであれば、トークンを取得した時点の価額が収入金額ということになります。

問題は、いつトークンを取得したといえるかです。配布元がトークンを各アドレスに直接送る形であれば、ウォレットにトークンが入った時点で取得したとみることになるでしょう。これに対し、受け取る側が自分で請求(クレーム)の取引をしなければトークンが本人のアドレスに入らない形であれば、請求をするまで、本人はそのトークンを自分のウォレットから動かすことができません。この場合は、原則として、請求の取引をした時点で取得したとみるのが素直でしょう。ただ、国税庁の上記の資料には、この点についての説明はありません。

分裂(分岐)との違い

国税庁の暗号資産 FAQ の問1-6 は、暗号資産の分裂(分岐)により新たに誕生した暗号資産を取得した場合、その時点では課税対象となる所得は生じず、その新たな暗号資産を売却または使用した時点で所得が生じるとし、その取得価額は0円になるとしています。

分裂は元の暗号資産を持っていた人の持ち物が二つに分かれるものであって、外から新たに何かを受け取るものではないという点で、エアドロップとは異なると考えます。エアドロップは、配布元が別のトークンを新たに渡すものですから、問1-6 の取扱いをそのまま当てはめることはできないでしょう。受け取った時点で課税されるかどうかという点で、両者の扱いは分かれます。

時価が分からないトークン

エアドロップで受け取ったトークンの時価が分からない場合はどうでしょうか。

NFT の FAQ 問7 は買い物に付いてくるトークンについての説明で、エアドロップについて述べたものではありません。ただ、時価が分からないトークンを無料でもらった場面であることは変わりません。この記事では、エアドロップにも問7 と同じく時価を0円とする考え方を使えると考えます。

財産的価値を有する資産と交換できないトークンであれば、タックスアンサー No.1525-2 のとおり、そもそも所得税の課税対象になりません。

国税庁の資料に書かれていない点をどう決めるか

請求型のエアドロップをいつ取得したとみるか、問7 の0円の扱いをエアドロップに当てはめてよいかなど、国税庁の資料が直接答えていない点があります。

ChainTAXでは、こうした点について、ご依頼者と話し合いながら処理の方針を決めています。条文や国税庁の資料から筋の通った説明ができる範囲で考え、あわせて、その扱いをほかの取引にも一貫して当てはめられるかを確かめます。取引ごとに都合のよい扱いを選ぶと、後で処理の理由を説明しにくくなるからです。

よくある質問

エアドロップでトークンを受け取っただけで課税されるか

法人から配られ、暗号資産などと交換できるトークンであれば、受け取った時点の価額で所得税の課税の対象になると考えられます。この記事で参照した国税庁の資料にエアドロップを直接扱った説明はなく、NFT や FT についての説明からの推論です。個人から無償でもらった場合は、NFT の FAQ 問9 に照らせば、贈与税の問題になると考えられます。分裂(分岐)で受け取った暗号資産は、国税庁の暗号資産 FAQ 問1-6 により、その時点では所得は生じません。

時価が分からないトークンはどう計算するか

NFT の FAQ は、問7(買い物をしたときにもらうトークン)と問8(ブロックチェーンゲームの報酬)で、時価を出すのが難しければ時価を0円としてよいとしています。この記事では、エアドロップにも同じ考え方を使えると考えます。ただし、国税庁が示した取扱いではありません。

請求(クレーム)型のエアドロップはいつ所得になるか

この記事で参照した国税庁の資料には説明がありません。自分で請求の取引をするまでトークンが本人のアドレスに入らない仕組みであれば、請求した時点で取得したとみるのが素直でしょう。

参考資料

この記事は一般的な情報の提供を目的とし、個別の事案についての税務上の助言ではありません。受け取ったエアドロップの計上時期や時価の計算に迷う場合は、お問い合わせからご相談ください。

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